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VRの特性を活かしたアクションゲームとは何か? 『TITAN SLAYER』が、VRゲームの新たな地平を切り拓く!
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VRの特性を活かしたアクションゲームとは何か? 『TITAN SLAYER』が、VRゲームの新たな地平を切り拓く!

やすこ

プロジェクト・マネージャー

かっしー

エンジニア

KID

デザイナー(キャラクターモデラー)

カドゥー

エンジニア

さっさん

エンジニア

巨人と戦う一人称体感型VRアクションゲーム『TITAN SLAYER』が、2017年4月28日に世界最大のゲーム配信プラットフォーム「Steam」でリリースされ、VRセールスランキングの第1位を獲得(7日間連続で1位をキープ)!

プレイした(夢中になりすぎて翌日筋肉痛になった)ときのことはすでにリポートしましたが、やはり一体どんなふうに作られたのか知りたくなったので 、VRチームのメンバーに開発秘話を聞いてきました!

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VRの特性を活かしたアクションゲームとは何か? 根本的な問いからプロジェクトはスタートした

『TITAN SLAYER』を体験しましたが、剣や銃で戦うアクションが本当に大迫力で驚きました。どういったコンセプトからスタートしたんでしょう?

やすこ もともとは社内で「巨人と戦うVRアクションゲーム」というコンセプトがあって、別のチームが試しに開発していたのですが、VRゲームは既存のゲームとはまったく勝手が違うので思うように制作が進まない......という問題がありました。そこでVR専属のメンバーを集めて開発に専念しようということになって、僕がプロジェクト・マネージャーを引き受けることになりました。

KID 僕は前職でコンシューマーゲームとアーケードゲームの開発に携わっていたんですが、VRゲームを作りたくてコロプラに転職したんです。『TITAN SLAYER』に関しては「試作をプレイして感想を教えてほしい」と言われたんですが、本当に面白いVRゲームを作るなら、ゼロから作り直すべきだと思いました。

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やすこ 試作はコンシューマーゲームの延長にあるような仕様で、VRの特性を活かしきれていなかったんです。わざわざHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を着けてやるわけだから、VRならではの面白さを感じられるようにしたいですよね。「ちょっと方向性を変えてみましょう」と提案したところ、がっつり作り直すことになって......大変でした(笑)。

みなさんVR開発がやりたくて集まった感じでしょうか。

かっしー そうですね。僕はもともと体感ゲームが作りたくてゲーム業界に入り、前職ではアーケード筐体の設計に携わっていました。ゲームの体感性をもっとも高めることができるのは、筐体を作る側だと考えていたんです。それがVRの登場によって家庭でも体感ゲームが遊べるようになったので、体感ゲームの未来はVRにあると感じてコロプラに転職しました。

カドゥー 僕はこれまで、家電向けのブラウザ開発をしたり、海外カジノ向けのスロットやテーブルゲーム開発をしてました。とにかく新しいデバイスが好きなので、当時は珍しかった、Oculus Riftという新たなデバイスに触れたいと思ってコロプラに転職し、VRチームに入りました。

さっさん 僕は2016年に新卒入社したんですが、入社前にコロプラで半年ほどアルバイトをしていました。そのときにVRゲームの開発に携わっていて、仕事自体も面白いし、メンバーも面白い人ばかりで楽しく仕事ができたんですよね。だから入社後も自分からVRチームに配属希望を出しました。

『TITAN SLAYER』の開発では、それぞれどのような役割だったんでしょうか?

カドゥー このチームの特徴としては、特に決まった役割がない(笑)。お互いに助け合いながら、いいものを作っていこうというスタンスなので、他のメンバーの担当部分にも干渉するんですよね。僕が担当したのは主に、ボス以外のモーション制御とサウンド制御です。サウンド関連はディレクションも含め、ほとんど僕が担当していますが、ほかにもいろいろやっています。

KID 僕はキャラクターモデラーで、キャラクターや武器など背景以外のデザイン全般を作成しました。ただ絵を作ればいいというわけでもなくて、VRの場合、大きさの要素もあるので(たとえば巨人が現れるときに、自分の大きさに対してどれくらいの大きさの巨人が現れるとリアルに感じるかなど)、モック(模型のようなもの)を作って検証するといったこともやりましたね。

かっしー メンバー全員がコンセプト・デザインに関わっていますよね(笑)。僕はUIが担当でしたけど、プランニングやディレクションをやることが多かった。

さっさん 僕は主にボスのモーション制御やキャラに陰影をつけるシェーダー、光のエフェクトを担当しました。

KID 僕らデザイナーはキャラクターを作るわけですけど、さっさんがそれに手を加えて、臨場感あるものにしていくわけです。たとえば剣で敵を斬ったときに傷口ができるといったディテールの変化ですよね。

カドゥー さっさんはビジュアル系エンジニアといった感じですよね。

かっしー まとめると、それぞれ一応の担当はあるんですけど、やらなければいけないタスクに対して、できる人が自分から手を挙げてやっていくような感じです。メンバー同士で話し合いながら作っていくので、仲はいいですよね。ゼロから手探りでやってきたので、団結力は高いと思います。

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VRはゲームっぽくすると面白くない!? トライ&エラーを繰り返すことで得られた「気づき」

既存のゲームだと開発プロセスもある程度は予測できると思うのですが、未知の部分が多いVRゲームの開発は、実際どんなふうに進めるのでしょうか。

やすこ VRゲームの開発に関しては、企画がほとんど意味をなさないんですよね。もちろん最初のとっかかりとして企画は必要なんですけど、実際の開発段階では企画に縛られないほうがいいと思います。最初のコンセプトからズレないことだけを意識して、とにかくみんなでアイデアを出し合いましたね。

かっしー アイデアとしては面白そうに見えても、VRでやってみるとつまらないということが大量にあるんです。ひたすらトライ&エラーですね。

KID たとえば「飛んでくる敵を撃ち落とす」というアイデアが出ると、僕がモデルを作る前に、カドゥーが非常にざっくりしたモックを作ってきて、動きを試してみるんです。本当は鳥のモンスターのイメージなんだけど、カドゥーは「とりあえず、これを鳥だと思って」と言って円柱の側面に薄い板を二つ付けたものをUnityで作り、話を進めるわけです。アイデアが出た数時間後にはモックが動くスピード感にはビックリします(笑)。

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カドゥー 我々はクリエイターなので、議論しているよりも作ったほうが早い(笑)。とりあえず近いものを持ってきて、遊び方を試してみるんです。

KID 何時間議論しても、結局、やってみないとわからないですからね。それでイケるとなったら、イラストをもとに僕がモデリングしてゲームに登場させるという流れになります。

かっしー VRチームの特徴としては、アイデアが出てから検証するまでのサイクルがとにかく早い。しかも試す回数が非常に多いんです。未知のものを作ろうとすると、どうしても議論が長引いてしまいがちですが、うちのチームは「とりあえず、やってみよう!」なんですよね。

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試してみて失敗だったというアイデアもあるわけですか?

一同 大量にありますよ(笑)。

カドゥー いろいろありましたけど、たとえば「モンスターに乗って移動しよう」という案とか......結局、ボツになりましたね。

KID プレイヤーがゲーム内で自在に移動すると、どうしても「VR酔い」の問題が出てきますからね。こういう感じで、初めのうちはだいたい発想しやすいものを作るんですけど、「やっぱり違う」となることが多かったです。

カドゥー 格闘ゲームの必殺技っぽい要素を入れようというアイデアもあったんですけど、そうすると途端にゲームっぽくなってしまって、やはりボツにしましたね。せっかくVRゲームをしているのに没入感が失われてしまうんです。 

「ゲームっぽくなる」と、没入感が失われてしまうんですか。

やすこ そうなんです。VRはその世界に入りこむ「体感」の部分が面白いので、既存のゲームの要素を入れると、途端に「やらされてる感」が出てしまうというか、なんだか冷めてしまうんですよね。作りながらそうしたことに気づいて、ゲームっぽい要素は極力排除していきましたね。

かっしー VRゲームはプレイヤーがその世界に入り込まないと気持ちよくプレイできない。既存のゲームの感覚とはまったく別ものなんです。

既存のゲームの発想がVRでは通用しないというわけですか。技術面ではどんな課題や難しさがありましたか?

かっしー 制約はいろいろありますよね。UIの面では、たとえば武器で両手持ちの剣や槍を出そうと思っても、コントローラーの制約があって難しい。無理やりやろうとすると、気持ち悪さが残っちゃうんです。ちょっとでも現実と違うと違和感があってダメ、没入感が失われてしまうんですよね。

KID 3Dのモデリングに関しては、コンシューマーゲームとVRでは作り方に大きな違いはないです。ただし、フレームレートの問題でデータを軽く作る必要があるので、ポリゴン数を少なくしなければいけない。その一方で、敵の攻撃が目の前に突き出てくるといった臨場感を出すために、視線に近づく部分はポリゴンをたくさん使っています。質感を出す部分は最新のマテリアルを使って、全体的には一昔前のポリゴン数で作らなくてはいけなくて、ちょっと妙な感覚がありますね。

さっさん 僕はエフェクトを作る際に、巨人に攻撃が当たったときに反動をつけたり、巨人の表面がボロボロ崩れ落ちるようにしたり、「効いてる感」を出す工夫をしました。敵が巨大なので、そうしたディテールを丁寧に作らないと、攻撃してもビクともしない感じになってしまうんです。実際に自分が戦っている感覚をリアルに表現するのが難しかったですね。

VRは没入するためのディテールが大事なんですね。

やすこ 大事です。コンシューマーゲームだとそこまで重視しなくてもいいようなことでも、VRの場合は、そこまでやらないとまったく面白くならないということがあるんですよね。

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苦労した分だけノウハウが蓄積できた。さらにクオリティーの高いゲームを作って、VR業界を盛り上げていきたい

『TITAN SLAYER』で重視したことや追求したことを教えてください。

やすこ いろいろありますが、まずVRだからということで体感性を重視した作りにこだわると、アクションがワンパターンになりがちでした。酔わないように移動をさせず、斬るか撃つだけしかないわけですから、既存のゲームでいうとボタンを押しているだけになってしまう。その問題に直面してから、あらためて「ゲームの面白さって何だっけ?」と立ち戻ってみたんです。そこで避けるアクションも大事だし、武器を切り替えられたり、アクションポイントでスコアが高くなったりするといった要素を追加しようということになりました。体感性の上にゲーム性を上乗せしていったことが功を奏したと思いますね。

かっしー 剣で攻撃するアクションゲームとなると、猫パンチみたいにやたらと剣を振りまわす人も多い。それで剣をかっこよく振ったらアクションポイントが入るというシステムも入れました。「こういうふうに遊んでほしい」という作り手側の要望が自然と伝わり、しっかり楽しんでいただけるように設計しています。僕らとしては、とにかくユーザーさまにかっこよくプレイしてほしい。

『TITAN SLAYER』は国内市場にとどまらず、全世界でリリースされています。海外の方でもすぐにプレイできるように作られていると思うのですが、どういった工夫をしましたか?

やすこ わかるように作るしかないです。基本的な動作はできるだけ簡単なものにして、最初のチュートリアルで、避ける動作などを身体に染み込ませてもらいます。一回その動作を覚えると、同じような条件のときに咄嗟に身体が動くんですよね。リリース前に、僕とKIDとカドゥーの3人でロサンゼルスの展示会に出展したんですが、海外のプレイヤーの方の反応を見ていると、同じところで詰まっていました。それを見てチュートリアルを作り直したりしましたね。

カドゥー 海外の雰囲気を味わえたのはすごくよい経験でしたね。みなさん日本人のプレイヤーよりアクションが大きいので、伝わってくるものがたくさんありました。

基本をマスターした後のやり込み要素はどうですか?

さっさん スコアを世界ランキングで競えるようになっています。タイムや体力がポイントに影響しますが、一番ポイントが高いのがアクションポイントのコンボを取ることです。なかでも一番取りやすいのが、武器を宙に投げてうまくキャッチするアクションで、やり込んでいくと敵が攻撃してくるタイミングがわかるので、その隙に急いで武器を投げてキャッチするっていう (笑)。

かっしー ゲーム紹介ページに、武器を投げてキャッチするシーンをgifで入れたんですよ。そしたら説明しなくてもみんなやるようになって、むちゃくちゃ上手い人が現われたりするんですよね。

KID ちなみにさっさんは世界ランキングの上位を競っているんですよ。場合によっては世界最強のスレイヤーはさっさんかもしれない(笑)。

さっさん 死ぬほどプレイしてますからね(笑)。だけど、もうそんなに上位にはなれないです。開発者の僕が本気でプレイしても、すぐにその記録を塗り替えてくる猛者が、やはり世界にはいるんですよね。

『TITAN SLAYER』を制作したことで、これまで未知だった「VRに適したゲーム」がだいぶわかってきたわけですよね。今後の抱負を聞かせてください。

かっしー トライ&エラーを相当繰り返したことで、かなりノウハウは溜まったと思います。また同じメンバーでやりたいですよね。

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KID 知見とノウハウはかなり溜まったので、これでまた新しいものが作れるはずだと思いますね。

さっさん VRアクションゲームの元祖みたいになれるといいなと思います。『TITAN SLAYER』に影響を受けた類似のゲームがたくさん出てきてほしいです。そうやってVR業界全体が盛り上がっていくものだと思うので。

やすこ そうですね。我々としてはさらにその上を行くことでVR業界をリードしていきたい。僕たちがVRを盛り上げていかないといけないということを、最近すごく感じています。

VRがより普及するには、ユーザー数が増えるのはもちろん、作り手が増えていくことも求められてきます。これからVRのクリエイターを目指す人にはどんなものが必要になると考えますか。

カドゥー まず、VRは何をすれば面白いのか、何が正しいのかわからないので、なんでもすぐに試してみようという人が向いていると思いますね。とにかく手を動かしてみるといいと思います。頭で考えるより、とにかくやってみる。

かっしー 一緒に働きたいのはいろんなアンテナを張っている人ですね。ゲーム業界を目指す人は、やっぱりゲームが趣味という人が多いのですが、VRはこれまでのゲームとは違うものを作ることになるので、たとえば旅行やスポーツが趣味であるとか、たくさん引き出しを持っているとVRコンテンツに活かせると思います。

やすこ 固定観念が強すぎない人がいいですよね。既存のゲームの発想に縛られないで、「VRのゲームってそもそもどういうものなんだろう?」と一緒に考えてほしいと思ってます。自分たちで新しいスタンダードを作っていくことに興味がある人には最高の環境だと思いますね。

今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました! 今後も新作を楽しみにしています!

プロジェクト・マネージャーのやすこさんは2015年度の総合職の新卒入社で、エンジニアのさっさんは2016年度の新卒入社です。最年長はデザイナーとしての経験が豊富なKIDさんですが、入社時期的には一番新人で、エンジニアのかっしーさんとカドゥーさんも同様にVRチーム結成のタイミングで入社。世代も職歴も問わず、フラットな関係が築けているので、とにかく話の進みが早いのがこのチームの大きな武器になっています。

VRという未知のエンターテインメントを作っているわけですから、スタートラインは同じ。それぞれのバックグランドを持ち寄りながら、柔軟にアイデアを出していくためには最適なチームのあり方なのかもしれません。

『TITAN SLAYER』は、複合カフェ「自遊空間」の東京・兵庫など6店舗と、タイトーステーション 大阪日本橋店 & 「VR Center イオンレイクタウン店」でもプレイ可能です。ぜひ体験してみてください!