コロプラ・ベアーズ 面白いものを作りたい仲間が集まるベアーズ

『白猫プロジェクト』エフェクトデザイナーブログ Vol.8
TEAM

『白猫プロジェクト』エフェクトデザイナーブログ Vol.8

ワタ

2016年10月、映像系CGプロダクションを経て、3Dエフェクトデザイナーとして中途入社。

はじめまして。マルさん、ヤマさんからバトンを受け取り、本ブログのVol.8を書くことになりました、ワタです。『白猫プロジェクト(以下、白猫)』のエフェクトデザイナーになり、気づけば4年が経っていました。

2人からのリクエストが、「映像業界から転職してきて感じたことや、制作で大切にしているポイントなどをまとめてほしい」ということでしたので、今回は以下のINDEXでお話しできればと思います。

1 CGプロダクションから、スマホゲーム会社へ転職した理由
2 『白猫』エフェクトデザイナーに求められる力と使用ツール
3 スキルエフェクトの作り方と個人の裁量
4 映像制作とリアルタイムエフェクト制作の違い
5 コロプラへの転職を振り返って

ご参考にしていただける部分があれば幸いです。

1 CGプロダクションから、スマホゲーム会社へ転職した理由

コロプラに入社する前は映像系のCGプロダクションで働いていて、遊技機やコンサートのオープニングムービーなどを作っていました。クライアントは様々で、イベントのプロジェクションマッピングを担当することもあれば、デパートの街頭広告やホログラムを作ることもあり、掲出されると必ず現地に出向いて見るようにしていました。そこで自分が作ったものに対する反応が聞こえてくると嬉しくて、より直接リアクションが見られるところで働きたいと思い、スマホゲーム会社への転職を考えるようになりました。

ただ、スマホゲーム会社の募集要項をいくつか見たところ、職種が分業化されているのが基本で、自分は通用しないだろうなと思いました。僕はそれまでジェネラリストとしてモデリング、モーション、エフェクトなどを広く担当していましたので、逆に言うと専門的にやっているものがなかったんですね。でも当時コロプラでは「3DCGデザイナー」という枠で広く募集されていたので(※ 現在は「3Dジェネラリスト」枠があります)、応募してみました。

EFFECT_TEAM_BLOG_08_n00_800_736.png

2 『白猫』エフェクトデザイナーに求められる力と使用ツール

面接に進んで「何をやりたいですか」と聞かれたので、「『白猫』の3Dをやりたいです」と答えたら、そのまま『白猫』のエフェクトチームに配属されました。前職の業務内容やポートフォリオから「エフェクトデザイナーに向いているのでは」と判断されたようです。
とはい初のゲーム制作です。実際に働いてみると、映像とゲームは "CGを作る" というところは一緒でも、これまでの仕事と全然違うと思いました。当時感じていた前職との一番の違いは「ここでは "技術力" より "デザイン力" が必要なんだな」ということでした。

"技術力" が3DCGのツールを使ってアウトプットする力だとすると、"デザイン力" はファンタジーを作っていく力です。それまで僕は2Dデザイナーが描き起こしたものを3Dにしていくという流れで仕事をしていましたが、『白猫』ではエフェクトデザイナーがデザインも担当します。たとえば魔法陣を作るときは、キャラクターデザインとイベントの世界観の両方に合うように魔法陣を作っていきます。
EFFECT_TEAM_BLOG_08_n01_800_510.png
この魔法陣は、左がボツ案で、右が実際にリリースされたものになります。はじめは「ミレイユ」という女の子が、双子の兄「ヨシュア」と二人でスキルを打つという仕様だったので、二人のキャラクターデザインを掛け合わせたような形にしていました。しかし一方で、イベントが "花嫁" をテーマにしたものだったのでちょっと違うかな......と考えて、描き直しました。
EFFECT_TEAM_BLOG_08_n02_800_475.png
"技術力" "デザイン力" に続いて必要なのが、"想像力" と "演出力" です。映像の仕事の場合、絵コンテや映像コンテをもとに3D制作をしていきますが、『白猫』の場合はプランナーやシナリオライターが考えた2〜3個のキーワードと、「このタイミングでヒットが出る」といった情報をもとにエフェクトを作っていきます。
EFFECT_TEAM_BLOG_08_n06_800_450.png
このとき、ヒットを出すタイミングでのみエフェクトを出せばいいというわけではありません。ヒットが出ていないところにも賑やかしのための光を出したり、その技を出すまでにそのキャラがどういう表現をするといいかなどを考えないといけないので、"想像力" と "演出力" も必要になります。その他、『白猫』チームではSE(効果音)をつけるのもエフェクトデザイナーですし、ある意味、ジェネラリストだったときより広いことをやっている気がします(笑)。

ちなみにツールに関しては、Autodesk Maya、Unity、Adobe Illustrator/Photoshop/After Effects をよく使います。僕は入社前も Autodesk Maya を使っていたので、わりとスムーズに対応することができましたが、Unityはコロプラに入社するまでは未経験でした。

魔法陣を作るときは Illustrator でデザインを起こして、Photoshopで色をつけて、After Effects でテクスチャを作るという感じでツールを使い分けています。
また、前職では After Effects をメインで使っていましたので、社内の未経験者の方に向けて使い方の手順をまとめたり、作例を見せたりして、周りの方のスキルアップ支援に役立てています。

3 スキルエフェクトの作り方と個人の裁量

魔法陣に続いて、エフェクトデザイナーのメイン業務であるスキルエフェクトの作り方についても触れておきたいと思います。まずは『Runaway Horizon ~6th Anniversary:EP.1』(2020年4月15日-5月15日開催)というイベント内で担当した「ペルマナ」という新キャラクターを例に挙げます。

『白猫』ではすでに登場したことがあるキャラの場合、過去のデザインをベースに、今回のイベント内容に合わせて演出を考えていくのですが、新キャラの場合、このキャラはどういう動きをして、どういうエフェクトを出すのか、というところから考えていく必要があります。

「ペルマナ」については、キャラクターデザインの段階で髪や衣装の色は決まっていましたが、それ以外にある情報といえば、シナリオライターが考えた「アンティークなメイド」というキーワードくらいでした。そこで「アンティーク」という言葉から自分なりに連想していき、「懐中時計」や「歯車」のモチーフを使うことにしました。
EFFECT_TEAM_BLOG_08_n04_800_980.png
続いて、『Phantom Of Memory ―機新領域TAIRA』(2020年5月29日-8月31日開催)で登場した新キャラ「エプリル」は天才学者という設定ですが、シナリオライターが考えたキーワードは「ニュートンなアンドロイド」でした。さらに「かわいい外見で闇属性」という仕様でもあって結構悩んだのですが、重力制御装置的な感じのデザインにすることに決めて、こんな感じにしています。
EFFECT_TEAM_BLOG_08_n05_800_450.png
『白猫』チームでは、エフェクトデザイナーの裁量(個性)に委ねられる部分が大きいと思います。たとえば『中二力(ちゅうにりょく)』のあるエフェクトがヤマさんらしさになっているように、僕は『キレイめ』なものを作ろうと思っています。昔は女性っぽいデザインを作るのは苦手だったのですが、最近は可愛いキャラを作ることが増えたせいか、キレイめを目指すようになってきました(笑)。

4 映像制作とリアルタイムエフェクト制作の違い

映像制作ではレンダリングした画像を最終納品物とし、それがそのまま再生されますが、スマホゲームの場合はユーザーさまの操作によってリアルタイムで画像が変化します。とくに『白猫』にはステージによって360度どこからでも見られてしまうカメラ機能があるので、どんな角度から見られても問題がないように画像を作る必要があります。

また、『白猫』は2014年にリリースされた長寿コンテンツのため、ユーザーさまのスマホ容量を超えないように守るべきサイズがあります。リッチな表現を取り入れて、よりハイクオリティなビジュアルにさせたいと思っても、簡単に導入できるわけではありません。

それでも何かできないか......と考えていたところ、「カットシーン(ゲーム内ムービー)だったらそこまでメモリを気にせず新しいことができる」という情報を小耳に挟んだので、映像業界では一般的な「ポストエフェクト(レンダリングされた画像の上から発光させたり、ぼかし表現を入れたりすること)」を試してみました。リアルタイムの場合、テクスチャの中に光の表現を入れて再生させていますが、このやり方だとエフェクト自体に発光をかけられるので、よりリッチなビジュアルにすることができます。

このような表現をゲームの中でできたらベストですが、現状は難しいので、検証を進めているところです。今後も現状に甘んずることなく、今までにない表現を取り入れていけたらと思っています。

EFFECT_TEAM_BLOG_08_n07_800_450.png

5 コロプラへの転職を振り返って

コロプラに入社して変わったのは、作品に対して深く入っていけるようになったことだと思います。以前はクライアントからの「こんな表現をしてほしい」というリクエストのもとに作っていましたが、『白猫』では自分が1から考えて仕上げたデザインが作品に反映されて、それがそのままユーザーさまに伝わるので、ゲーム作りに入り込めている気がします。

CGを作りながら日々思っているのは、CGって日常生活に必要なものではなくて、これがなくなっても食べるものや住む場所がなくなるではないんだよな......ということです。一方で、ゲームは非日常に連れていってくれるものなので、ユーザーさまが仕事や学校で疲れているときなどに、自分が作ったデザインによって気が紛れてくれたらいいなと思っています。

また逆に、ユーザーさまの反応が伝わってきて、制作の励みになっているというところもあります。リリース後は自分が担当したキャラはどうなっているかなと気になるものですが、反応があると単純に嬉しいです。『白猫』の楽しみ方のひとつとして、スクショを撮ってTwitterに上げてくれる方が結構いらっしゃるのですが、それを見ると作って良かったと思います。ちなみにスキルカメラで動かせるときは、真上から見てみていただくと魔法陣がとても綺麗に見えますので、一度試していただければと思います(笑)。

以上で、映像業界から転職してきたエフェクトデザイナーによるお話を終わります。次回はマルさんかヤマさんにバトンを戻す予定です。