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『黒ウィズ』デザイナーブログ Vol.2【新卒入社 / モーションデザイナー編】
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『黒ウィズ』デザイナーブログ Vol.2【新卒入社 / モーションデザイナー編】

白猫黒猫本部

荒井

モーション
デザイナー

Vol.1で登場した3Dモデラーの章(shou)からバトンを渡されました、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ(以下、黒ウィズ)』モーションデザイナーの荒井です。章とは同期(2017年4月入社)でよく話す仲なのですが、ブログで日々創意工夫しているのを知って、改めて尊敬しましたし、感化されました。

さて、この「デザイナーブログ」は、『黒ウィズ』の作り方を各セクションのデザイナーがリレー形式でお伝えしていくというコーナーなので、私は以下の3点についてお話ししようと思います。

1 美大の彫刻学科を卒業してスマホゲーム会社に就職した理由
2 『黒ウィズ』モーションの作り方
3 入社後2年間の振り返り。彫刻を作ることと、ゲームを作ることの違い

モーションデザイナー志望の方に限らず、『黒ウィズ』の作り方に興味がある方はもちろん、就職・転職について考えている方のご参考になれば幸いです!

1 美大の彫刻学科を卒業してスマホゲーム会社に就職した理由

私は幼い頃から工作が好きだったため、高校卒業後は美大の彫刻学科に進学しました。そこで様々な素材を扱って主に人体をモチーフに立体物を作っていたのですが、制作していく中で気づいたのは、"どれだけこだわって考え抜いた作品を生み出しても、ギャラリーで見てくれる人は数百人程度で、大勢の目に触れる機会は少ない" ということでした。
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そこで、"自分の手で生み出したものを少しでも多くの人に見てほしい" という想いを実現するために就職活動を始めて、当初はテレビ業界のアートディレクター職を目指していました。大学の先輩が活躍していたこともあり、憧れていたからです。

しかしインターンシップに参加して実務を経験していくうちに、"自分がやりたいことは本当にこれなのだろうか" と考えるようになりました。というのも、それはテレビ番組の空間デザインをする仕事だったのですが、立体の大道具や小道具を用意するにしても平面の紙に "絵" を描き、それをもとに関係者と具象化していく仕事でした。でも、そもそも私が好きなのは立体作品を作ることであって、絵を描くこと自体はあまり得意ではなかったんですね。自分がやりたいことと、実際にやらなくてはいけない作業が決定的に違うと思いました。

そんなある日、Sculptris という無料の3Dモデリングソフトを触ってみたところ、とても面白くて、"3Dソフトを使った仕事をしたい。ゲーム業界ならたくさんの人に自分の作品を見て楽しんでもらえるだろう" と確信しました。

彫刻を学んでいたこともあり、当初はよりリアルな表現ができるコンシューマ系のゲーム会社ばかりを受けていたのですが、スマホゲーム会社ではコロプラだけ受けました。学内説明会でコロプラの人事に出会ったとき、"この企業で働いてみたい" と強く感じたからです。おそらくフィーリングが合ったのだと思います。それから面接、内定と進み、入社後の新卒研修については、以前「彫刻から3DCGのゲーム制作へ 〜新卒研修リポ Vol.8〜」という記事で書かせていただきました。

その後『黒ウィズ』チームに配属されて、3Dソフトを使った各セクション(モデル、モーション、エフェクト)で3か月ずつ研修を受けた末に、モーションデザイナーになろうと決めました。その理由の1つに、先輩モーションデザイナーNさんの演出を見て感動し、"自分でも作れるようになりたい" と思ったという原体験があります。

具体的に言うと、敵の動き1つ1つのテンポの気持ち良さとか、動きの勢いを感じさせるための隠し味的な工夫とか、個性的な演出の発想とか、キャラクターの感情が伝わる繊細な動きなど......たくさんあって書ききれないほどですが、スマホゲームという限られた尺の中でどう構成して表現していくのか。そこに自分にとっての "かっこいい" を入れられる仕事を自分もしたいと思いました。

2『黒ウィズ』モーションの作り方

『黒ウィズ』におけるモーションの作り方は映像制作に近く、制作Stepは大きく分けて5つあります。私は主に『レイドバトル』と『精霊大結晶』の演出を作成しています。

Step1 新イベントのテーマや内容、キャラクターを知る

演出を作る上で一番大切なのは、キャラクターを知ることだと感じています。性格や仕草、心の動き、キャラクターに対するユーザーさまの思い入れまで情報収集を行い、自分の中でイメージが固まるまで、シナリオライターと密に連携をとって調整していきます。
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ちなみに『黒ウィズ』のモーションデザイナーについて言うと、担当するキャラクターは上長からアサインされることが多いのですが、私はヒーロー系やアメコミ系が好きなので、「アレイシアは私がやりたいです!」と希望しました。私の中でアレイシアは、"元気いっぱいな女の子。まっすぐな性格で正義を貫き通すヒーロー" という印象です。

今回の演出を作っていくときにシナリオライターと話していたのは、「巨人がこぶしを振り下ろしてきたときに、アレイシアだったらそのこぶしに対してどうするか」ということでした。私は最初、アクロバティックな動き(=こぶしを槍で交わし、腕の上を駆け登っていくような動き)をさせようとしていましたが、ライターに「アレイシアは、こぶしが来たら、こぶしで勝負するのでは」と言われて納得、演出を再検討しました。

さらに『黒ウィズ』チームの中でもとくにアレイシアを好きな人たちで集まって、「アレイシアは格闘の専門家ではないので、槍の使い方がわからないはず。槍があっても、使わないんじゃないかな」などと話して、最終的にドロップキックをするという演出に決めていきました。
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Step2 新イベントのミーティング 〜 絵コンテ作成

新イベントに向けた初回ミーティングには、各セクション(エンジニア、デザイナー、サウンド、スクリプターなど)のメンバーが集まります。基本的にはプランナーから企画展開があり、シナリオライターがそのキャラクターを作った理由などを話していくという感じです。私はそこで仕入れた情報をもとに、どんな演出をするのがいいか、頭の中でイメージしていきます。

そして3Dモデルや背景などの仮素材がそろっているときは、Autodesk Mayaでキャラクターのキーポーズを大まかに作成して、そのスクリーンショットをとり、Adobe Photoshopで絵コンテを作成していきます。
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Step1で集めた情報をもとに、毎日見漁っているアニメや映画で "かっこいい" と感じたシーンのカメラワークなどを参考にしつつ、よりキャラクターが映える演出をエフェクトや効果音なども含めてイメージします。

ちなみにエフェクトに関しては、新卒研修で学んだこともあり、そのキャラに対してどのような位置でどのようなエフェクトを付けたいかといった具体的な作業内容をイメージしやすいです。そこでエフェクトデザイナーが気持ちよく制作できるように、画面の中の空間と尺を空けるといった工夫をして作成しています。

Step3 リギング

もともと『黒ウィズ』は人型以外のキャラクターを動かすことが多かったこともあり、モーションデザイナーが都度リギング(キャラクターを動かすためのコントローラー作成)を行ってきました。
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ただ、最近は人型のキャラクターが増えたため、自動リグ(自動的にキャラクターを動かすためのコントローラーを作成するツール)で基本的なリグを作成後、キャラ特有の部位(羽や尻尾等)に手動でリギングを行っています。この段階で絵コンテで見せたいポーズや動きに合わせてモデルの微調整も行います。

Step4 仮モーション作成、共有

絵コンテの段階で大まかに付けていたキーポーズを調整しつつ、キーポーズとキーポーズの間を埋めていきます。この段階で、映像に映るほぼ全てのモーションを作成し、演出をある程度 "かっこいい" と感じられるテンポにします。また、イメージが伝わるように仮でエフェクトも作成します。アニメや映画の監督になったような気分で、画面の中のものをコントロールしていく作業なので、本当に楽しいです。

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ちなみに、アレイシアの最後のポージングはカードイラストの立ち絵と同じポーズにしました。"イラストと同じポーズだ" と気づいた方には楽しんでいただけるのではないかと思います。
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Step5 ブラッシュアップ、端末確認

"おかしな動きをしていないか" "テンポは気持ち良いか" などの確認をしながら調整を行い、クオリティを上げていきます。また、より良い構図、より良いカメラワークがないか模索します。その後、Unityへ組み込みを行い、端末に反映するためのデータを作成後、エフェクトデザイナーにバトンタッチします。
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『黒ウィズ』のモーションデザイナーは、キャラクターやカメラのモーション作成以外にも、背景モーションやLive2Dの作成なども行います。配属されてから2年以上が経ちますが、【モーション】だけではなく【演出】も作り、【モデル】と【エフェクト】の繋ぎ役でもあるため、プロジェクト全体はもちろん、3Dデザイナー同士でもコミュニケーションをとることがとても重要なポジションだと感じています。



3 入社から2年間の振り返り。彫刻を作ることと、ゲームを作ることの違い

改めて振り返ってみると、彫刻作品は "ある動きの一部" を切り抜いて表現しているのものが多いです。たとえばミュロン作の『円盤投げ』も、円盤を投げるときの一瞬のポーズを彫刻にしていますよね。一方で、3Dモーションは "一瞬の動きの連続" と言いますか、いろんな動きを表現する必要があります。そういうモーションデザイナーとしてのスキルについては配属後にゼロから教えていただいたので、学びと成長の実感しかありません。

そして入社してから一番感じた "学生時代とのギャップ" は、シナリオライター、エンジニア、プランナー、サウンドなど、デザイナーとは全然違うセクションの方とコミュニケーションをとってものづくりをしていくということでした。美大でも合同作品を作ることはありますが、ゲーム作りにおけるチームにはもっと広く異なった技術や価値観を持つ人たちが集まります。れぞれが尖った価値観をぶつけ合うことにより、1つの作品が洗練されていく面白さはたくさんのクリエイターが集まるからこそだと思います。そして、デザイナーがデザイン以外の領域(企画や音など)に対しても自由に意見できるというのは、本当に素晴らしい文化だと思っています。

また、彫刻を作ることと、ゲームを作ることの違いについて言うと、Vol.1で章が書いている内容と同様に、それは作品を "個人" で作るか "チーム" で作るかの違いだと思っています。そして個人的に『黒ウィズ』は、"ユーザーさま" のものでもあると考えています。

彫刻を作ることもゲームを作ることも "発信していく" という点では共通しています。彫刻を作っていた頃は "個人" として作品を通して社会にどんなメッセージを伝えることができるだろうと考えていましたが、今は "チーム" として、作品を通してユーザーさまにメッセージを伝えようと努めています。
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伝えたいメッセージとは、純粋に、そのキャラクターを(たとえばアレイシアを好きな人にはアレイシアを)もっと好きになってほしい、楽しんでほしいということです。そして、作品が自分だけのものではないからこそ、インプットとアウトプットを繰り返して、作品のクオリティを上げていくことが何よりも大切だと実感しています。

以上、3Dモーションデザイナーの荒井がお伝えしました。
次回はエフェクターの韓さんが登場予定です。お楽しみに!