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気鋭のオタク現代アーティスト・池内啓人さんが創りだす、「もう一つの未来」 Vol.5

池内啓人

造形作家

1990年東京都生まれ。造形作家。多摩美術大学情報デザイン学科卒。卒業制作としてパソコンとプラモデルを組み合わせたジオラマ作品を作ったことがきっかけとなり、文化庁主催の「メディア芸術祭」や世界最高峰のメディアイベント「アルス・エレクトロニカ」に招待され、国内外で高い評価を受けているジオラマ造形作家。

摸型とデジタルガジェットを掛け合わせ、未来的な異世界を創りだすクリエイターがいる。造形作家の池内啓人さんが創りだす作品は、レトロフューチャーを思わせるものやアニメを具現化したものなど、「SF魂」がときめくものばかり。しかも「普段使い」ができるモノとしても機能している。モノがどんどんシンプルになっていく時代に、あえてメカっぽさを強調し、実現しなかった「もう一つの未来」へと逆行しているかのよう。異端なクリエイターの、創作への思いを全6回にわたってお届けします。

カウンターとしてのモノづくり

池内さんの作品は、ただ鑑賞するだけではなくて、実際に「普段使いできる」という点が面白いです。ただの飾りではなくて、実際に使えるモノにすることでリアリティが倍増しています。やはりそこはこだわっているんですか?

そうですね。パソコンのジオラマも本当に中にデータがないと意味がないと思っていましたし、ヘッドセットの作品もブルートゥースでスマホに接続して実際に使えるようにしてます。これを装着することでメイドロボがクックパッドを見て料理をするというイメージなんですけど、本当に使えないとイメージが再現できないと思っていて、そこはやはり追求してます。

模型だけのリアル化はすでに達成されているので、さらに進むために、リアルと融合させていくということでしょうか。

それもテクノロジーの進歩と発展のおかげだと思います。昔はライトひとつとっても、白熱電球で大きかったですけど、今はLEDがあるので細かい電飾が可能になりましたよね。たとえば以前、ロボット製作会社のスケルトニクスさんと実物大ロボットを共同開発したとき、ロボットの中にディスプレイを取り付けたんですが、薄いタブレット端末を入れるだけですから、再現できてしまうんですよね。ひと昔前だと重たいパソコンを設置することになって難しかったわけですけど。

今年はヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」がされるなど、かつて想像されていた未来に現代のテクノロジーが追いついてきていますよね。

『インセプション』や『アイアンマン』に出てきたようなデバイスがどんどん実現してますよね。それについては素晴らしいことだと思っていて、自分も追い続けたいと思ってます。一方で、ハードの造形の面でいうと、僕が想像していた未来とはまったく別の方向に進んでしまったと思っていて、反発したいと思ってます。僕もiPhoneやiMacを使っていて非常に使いやすくて便利なんですけど、自分がモノを作るときには、それとは反対のモノを作りたいと思いますね。僕が想像していた未来がないなら、自分で作ろうという。

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モノでコミュニケーションする

制作面での難しさでいうと、どんなところが難しいですか?

ジオラマに関していうと、リアルに寄せすぎると逆にリアルじゃなくなるところが難しさでもあり面白さでもあると思ってます。本物と同じ表現をしようとすると、スケールが違うのでかえって本物っぽくならないものなんです。だから、ジオラマにしたときにリアルっぽく見えるようにするための方法を考えます。あとはウェアラブルデバイスとして普段使いするモノを作ることが多いので、頑丈に作らなければいけないということは普段から意識してますね。接着剤でくっつけるところをネジや磁石に変えてみたりしてます。

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「普段使い」というのがやはり次のステージで、目指すところは、池内さんがデザインしたヘッドフォンがビックカメラで売られていて、街ゆく人が普通にそれを着けて歩いているような未来でしょうか?

ええ。本当にそうなってほしいです。原宿の竹下通りを歩いているような人たちを横目で見たときに、装着している場面を見たい。そこは目指すところですね。

アートが商業化することについてはどう考えていますか?

アートが世の中に普及することで、アート性が失われることはないと思ってます。僕は作品を作ることで人とコミュニケーションをとっていて、モノを通してコミュニケーションをするということは大変素晴らしいことだと思ってます。見た瞬間に同じものが好きだとわかったりして、モノがコミュニケーションのアイテムになるといいですよね。

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