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気鋭のオタク現代アーティスト・池内啓人さんが創りだす、「もう一つの未来」 Vol.3

池内啓人

造形作家

1990年東京都生まれ。造形作家。多摩美術大学情報デザイン学科卒。卒業制作としてパソコンとプラモデルを組み合わせたジオラマ作品を作ったことがきっかけとなり、文化庁主催の「メディア芸術祭」や世界最高峰のメディアイベント「アルス・エレクトロニカ」に招待され、国内外で高い評価を受けているジオラマ造形作家。

摸型とデジタルガジェットを掛け合わせ、未来的な異世界を創りだすクリエイターがいる。造形作家の池内啓人さんが創りだす作品は、レトロフューチャーを思わせるものやアニメを具現化したものなど、「SF魂」がときめくものばかり。しかも「普段使い」ができるモノとしても機能している。モノがどんどんシンプルになっていく時代に、あえてメカっぽさを強調し、実現しなかった「もう一つの未来」へと逆行しているかのよう。異端なクリエイターの、創作への思いを全6回にわたってお届けします。

日本独自の模型文化

2013年に「アルス・エレクトロニカ」(オーストリアで開催される世界最高峰のメディアアートイベント)に招待されることになって、いきなり世界が舞台となるわけですが、海外の人の反応はどうでしたか?

日本ほど模型文化が浸透していないらしくて、ガンダム文化もないので、一から全部作ったのかと思われたりしました。やはりアートの祭典なので、みんな趣味のジオラマではなく、何かしらのメッセージを込めた表現として見てくれることが面白かったですね。「ゴジラがモチーフなのか」とか、日本に関する質問をされることもあれば、「あなたは戦争賛美者なのか?」と言われたこともありました。日本人の場合、「これはドイツ兵の模型で、あれはフランス兵の模型」というふうに意識することはあまりないと思いますが、僕がジオラマで使っていたのがドイツ兵ばかりだったので、オーストリアの人には見過ごせない問題だったみたいです。

それに対して、どういうふうに答えていたんですか?

「パソコンのデータを保護する兵士」といったストーリーを話しましたけど......それでも納得してもらえない場合は、正直に、日本にはそういう文化があると説明しました。

ガンダムのパーツを「見立て」て創作

ヨーロッパには、戦争をジオラマで表現するような文化はあまりないものなんですか?

オーストリアに行ったついでに街の模型屋を見に行ったんですけど、海外製のものは鉄道や飛行機の模型が多かったです。あとは見たことがある日本メーカーの輸入ものが多かったですね。

そう考えると、日本の模型文化は独自に発展してきたものかもしれませんね。しかも鉄道や飛行機を縮小させた模型ではなくて、ガンダムのように二次元のものを三次元化するという独特の発達をしていますし。

それはたしかに思いましたね。僕も二次元のものを三次元化してモノとして残したいという欲求がすごくあるんですけど、それは日本独自の文化というより、親の教育が大きかったかもしれないです。アニメやゲームのように形に残らないものをやってもしょうがない、という教育を受けてきたので、大学の情報デザイン学科でホームページを作ったりするより、実際に形のある模型を作るほうが楽しいと感じるようになったと思うんです。

実際にどんなふうに制作しているんですか? プラモデルをいっぱい買ってきて、レゴのブロックでいろんな形を作って遊ぶような感覚なのではないかと想像するんですが。

まさにそんな感じです。たとえばガンダムの羽根のパーツを見て、とんがった耳みたいなヘッドフォンを作ってみようとか。ヘッドセットのマイクの部分も、ガンダムの足のパーツなんですよね。PCやビデオカメラの部品を使うこともあって、PCのファンがちょうどホバークラフトの推進装置に見えたので使ったりしました。そういうふうにパーツを一点一点「見立て」をするのが面白い。昔の人が農具を妖怪に見立てて『百鬼夜行』の絵を描いたのと同じような感覚だと思います。最初に「こういうものを作ろう」とスケッチを描いてからパーツを選ぶこともあるんですけど、それよりも模型のパーツや機械の部品から見立てていくほうが面白いんですよね。

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