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気鋭のオタク現代アーティスト・池内啓人さんが創りだす、「もう一つの未来」 Vol.2

池内啓人

造形作家

1990年東京都生まれ。造形作家。多摩美術大学情報デザイン学科卒。卒業制作としてパソコンとプラモデルを組み合わせたジオラマ作品を作ったことがきっかけとなり、文化庁主催の「メディア芸術祭」や世界最高峰のメディアイベント「アルス・エレクトロニカ」に招待され、国内外で高い評価を受けているジオラマ造形作家。

摸型とデジタルガジェットを掛け合わせ、未来的な異世界を創りだすクリエイターがいる。造形作家の池内啓人さんが創りだす作品は、レトロフューチャーを思わせるものやアニメを具現化したものなど、「SF魂」がときめくものばかり。しかも「普段使い」ができるモノとしても機能している。モノがどんどんシンプルになっていく時代に、あえてメカっぽさを強調し、実現しなかった「もう一つの未来」へと逆行しているかのよう。異端なクリエイターの、創作への思いを全6回にわたってお届けします。

パソコンを守る兵士のジオラマ

趣味の模型作りから造形作家になるにはワンクッションありますよね。模型による造形表現を本格的にはじめた経緯を教えてください。

最初はマウスやウェブカメラといった小さいモノを作っていたんですけど、初めて大きなジオラマ作品を作ったのが大学4年のときです。せっかく美術大学に入ったんだから納得できるものを作りたいという気持ちがあって、卒業制作と就職活動は並行してできないと思ったんです。普通に就職するつもりだったんですけど、なかなかうまく入れそうもないので卒業制作に1年かけようと開き直りまして(笑)。構想に半年、製作期間が半年で想定どおり1年かかりました。

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それがパソコンのジオラマですよね。これはどういったコンセプトなんでしょう?

パソコンを分解してみたときに、中が秘密基地みたいでカッコイイと思ったのがきっかけです。パソコンで作業をしているとゲームや動画など遊びの誘惑がいっぱいあるじゃないですか。そうした誘惑を撃退する兵士というイメージです。

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卒業制作としての評価はどうでした?

「模型は趣味だからね」と言われて、先生の反応はあまり良くなかったですね。「模型を美術の文脈に乗せないと美術にはならない」と言われたんですけど、当時の僕はそれほど美術史の知識もなかったので、どう文脈に乗せていいのかわからなかった。ところが卒業後すぐにインターコミュニケーション・センター(NTTが運営する現代アートの美術館)から展示の話をいただいたんですよね。それが終わったら就職活動をしようと思ってたんですけど、すぐにまた別のところから声をかけていただいて、完全に就職するタイミングを失ってしまって(笑)。そのときに美術館の館長さんやキュレーターの方たちが、レトロフューチャー的な意味付けや、パソコンのデータを兵士たちが守るといった現代アートの文脈で評価してくれたんですよね。

萌え系アニメの具現化

池内さんの作品は様々な意味付けができることが面白いですよね。たとえば、モノがどんどんシンプルになっていく時代に、あえて過剰に表現することでモノ本来の目的を際立たせているといった意味付けもできる。ヘッドフォンの作品でいうと、音を聴くという行為を大きな耳のような形で表現しているというか。

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そうですね。身に付けるモノに関しては、モノ本来の本質を視覚化するというのが最近のテーマになってます。それ以外のジオラマ作品に関してはレトロフューチャーをテーマにしていて、一つ一つストーリー性を持たせるようにしてます。たとえば戦車風にしたUSBメモリの場合だと、以前に国際宇宙ステーションがUSBメモリでウイルスに感染したというニュースを見て「USBメモリが武器にもなりえる」というストーリーにしているんです。

その一方でSFアニメの具現化とでもいった近未来のアンドロイドを思わせる作品もありますよね。

あれはほとんど個人的な趣味です(笑)。子どもの頃に『スターウォーズ』を見てからSFに惹かれるようになったんですけど、中学2年のときに『DearS』というアニメを見たことがきっかけで『涼宮ハルヒの憂鬱』や『灼眼のシャナ』といった萌え畑のアニメをひたすら見続けていたわけです。そうしたアニメの世界観を再現したいという気持ちがあります。アニメが元ネタのものは、僕と同じように好きな方が多いので、共感し合える点が好きですね。

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理想のロボットというと?

ゲームの『To Heart』に出てくるマルチのようなメイドロボですね。人間と変わらない姿で、ほんの少しメカの部分が残っているくらいが好みです。『イヴの時間』みたいに一見普通の人間なんだけど、お腹を開けてたまにメンテナンスをするというような。おそらくもっと技術が進歩すればそうなってくると思うんですけど、まだそこまでは追いついていないというのが現状ですね。

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