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「僕は、具象彫刻家」 松田光司氏スペシャルインタビューVol.4

松田光司

彫刻家

1965年 愛知県春日井市に生まれる。具象彫刻家。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。1989年 サロン・ド・プランタン賞(東京藝術大学、卒業制作展)、新作家賞(東京都美術館、新制作展)を受賞。2001年 ルーヴル美術館提携NPO(特定非営利活動法人)グラン・ルーヴル・オ・ジャポン理事就任(2008年より「日仏子供ヴィジョン」に名称変更)。2014年 箱根駅伝90回記念モニュメント「絆」(読売新聞東京本社・東京都千代田区大手町)をはじめ、全国40ヶ所以上に作品が設置、収蔵されている。

松田光司が思う『透明感』

今日はモデルさんがいらしていますが、いつもモデルさんを見ながら制作されるんですか。

彫刻を30年以上やっているので、さすがにモデルさんナシでも作れちゃうんですよ。でも、自分が作りたいイメージだけでやっていると、新鮮なものが出てこないというか、マンネリになってしまうので、意図的にモデルさんに来てもらうようにしています。それで、新しい空気をもらうんです。極端なことを言うと、モデルさんにポーズをとってもらっていても、見ていないことがあります。空気感だけもらう感じ。その人が発しているエネルギーのようなものをいただいて、僕の空気感と混ぜるみたいな。そうすることで、次の展開ができやすくなる。

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モデルさんがいなくても作れるというのは、人体の型のようなものが、頭の中にあるから、ということでしょうか。

そう。たくさんデッサンしていて、自分の中にインプットされているので、それをアウトプットできる。でも逆に、「このモデルさんが来たおかげでこのシリーズが生まれた」ということもあるんですよ。たとえば中村友里恵さん(今回のモデルさん)に関しては、それまで僕の中になかった、バレエを基調とした動きを教えてくれた。バレエを基調としたポーズは、踊っている途中の動きでも、次の動きが想像できるというか、止まっていても全部動いているように見えるのが面白いのね。だから、中村さんが来たら、じっと観察して作ります。

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ちなみに、中村さんとはどこでお知り合いになられたんですか。

非常勤で教えていた大学の教え子で、60~70人いるうちの1人でした。1年生の時に彫刻を教えてあげただけで、それ以降ほぼ関わっていませんね。だから普通だったら覚えていないと思うんだけど、中村さんは、僕がデモンストレーションで彫刻をやっている時に、ほかの学生と違って1人だけ、かぶりつくようにすごく近くにいた。印象的な学生でしたね。

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まさに彫刻のモデルになるべくして、と言いたくなるような、整ったお顔立ちですよね。

でも最初からモデルを頼んだわけではないんです。いくつもの段階があって。ある時、もう卒業後だったと思いますが、なにかの集まりがあった時に中村さんが鏡の前でバレエのポーズを取っているのを見て、「すごい」と思った。そこでインプットされたのは確か。それでもまだモデルのお願いはしないんです。そこから時間が経って、個展を見に来てくれた時に、恐る恐る「モデルやらない?」と聞いたら、「いいですよ」と言ってくれた。

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彫刻家の松田さんと、中村さんが出会って作品が生まれたのも、何かのご縁ですよね。

ありがたいなあと思っているのが、中村さんに出会う前に、主に2人、モデルさんを頼んでいたんですが、その方たちもプロのモデルさんということではないんです。その2人というのは、昔住んでいた家の近所に住んでいた美人姉妹で......親御さんに恐る恐る頼んでみたら、「いいですよ」って言ってくれて。今は彼女たちが忙しくなって、お願いできなくなっちゃったんだけど、ちょうどそうなった頃に、中村さんに来てもらえることになりました。

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いろんなところでご縁を感じますね。ちなみに、モデルの方を選ぶ時に、基準にしているようなものはありますか。

『透明感』がずっとキーワードになっています。30歳くらいの時に「そっか、自分のテーマってこれなんだ」って気付いたんですが、学生時代の頃の作品を今見ても、自分の奥底にあるのは『透明感』で、統一されていると思います。ただ、それがどういう形になって現れるのかはわかりません。

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『透明感』というと、濁っていないとか、軽やか、とかそういうイメージを持つのですが、その解釈で合っていますか。

それに近いとは思うんだけど、松田光司が思う『透明感』なわけであって、5人いたら5通りの『透明感』があるわけですよね。だから、僕の中で思う『透明感』というか。でもとにかく、新しくモデルをお願いする方には『透明感』を感じなかったら絶対頼まないし、その人の中に『透明感』を感じたところでお願いする。依頼された仕事でも、対象から『透明感』を引き出す。自分にとって、その人の美しさ、『透明感』にスポットを与え、形に移し変える。そこは崩れない。

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中村友里恵さんは、松田さんのアトリエに週に1回程度来て、だいたい5時間くらいモデルをするとのこと。デッサンもするが、細かなポーズの確認をするために、松田さん自ら撮影も行う。

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(コロプラのマスコットキャラクターである「クマ」との撮影にも気さくに応じていただきました)

「特殊なポーズなので、休憩をとりながらやります」(中村さん)
「いろんな表情を知って、内面に含まれているものも作品に入れ込みたいので、しゃべりながら作ります。中村さんが好きなアニメの話とか、たいてい作品とは全然関係ない話をしていますよ(笑)」(松田さん)